top of page

「あの鏡の裏へ行ってください」

 平野が指差したのは、町の中央です。鏡なんてどこにもありません。

 首を傾げる燭台切でしたが、よく見ると、地面に金色の縁を見つけました。それは地面に沿うようにどこまでも続いていき、燭台切が見えるぎりぎりのところでカクンと折れ曲がり、それから天へ昇っていました。それは大きな額縁でした。

 

「あっ……」

 

 町はそこで終わっていました。縦も横も本丸の城壁の十倍、いいえ、エッフェル塔よりも高くて、万里の長城のように長い、巨大な鏡が町の中央に横たわっていたのです。

赤08-4.gif

8.

bottom of page