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 長谷部ははっと声の主の方を振り返りました。そこには頭がクマの、筋肉隆々の大男が立っていました。

「それは本当?」

「本当の本当に、彼らは仲間?」

「うむ。拙僧の感覚が、良い者たちだと告げている」

 人々は顔を見合わせ、ひそひそと話し始めました。

 彼が言うんだ、大丈夫じゃないか? そうだね、彼もここへ来たときは似たような姿だった。

 

「さあ、みんな、大丈夫だから、おやつの時間を続けよう。食べやすいように斬りますね。燭台切さんも手伝って!」

 ウサギの明るい声に、人々はそろそろと木の影からひとり、またひとりと出てきました。

 呼ばれた燭台切は、長谷部の手を離し、ウサギとともに行ってしまいました。燭台切がリンゴの皮をむき始めると、人々はその皮でできた赤い螺旋を面白がって、口々に褒めそやしました。

18.

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