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「おい、よく聞け動物ども。俺たちは刀だが無用な殺生はしないぞ」
「僕ら、ただ道に迷っただけなんだ」
「そうだよ、彼らはプラムを届けに来てくれただけなんだ」
ただ一人残ったウサギがプラムいっぱいの籠を見せますが、誰も聞いていません。
大木がごほんと咳をして言いました。
「儂は知っておるぞ。ヒトという生き物は、儂らをばっさばっさと切り倒し、ばらばらに分解して、火をつける。それで自分の身体を温めたのじゃ」
森の住民たちは震えあがりました。
「なんて傲慢、なんて非情!」
「そういえば聞いたことがある! ヒトはカタナを使ってわたしたちを殺し、煮て食うのだと」
「悪魔だ! 助けて!」
身を縮めて震える人々を見て、長谷部と燭台切、それにウサギは途方に暮れました。どうも誤解を解く方法が見つかりません。
長谷部が踵を返そうとしたその時、力強い声が割って入ってきました。
「ここに悪魔などいまい。新たな仲間のようであるな」
17.
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