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「もしかして、あの遠くに見える物見台も、本当は……」

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 燭台切が振り返ると、全く同じ物見台が後ろに見えました。

「この町は、地の果てまで続いているように見えます。でも、本当は、その半分しかありません」

 燭台切は鏡に映った空を見上げました。

 

「ここは、間違った半分を切り捨てる町です」

 平野は鏡の向こうを見つめながら言いました。

「こうして人の姿を得たからには、刀剣男士はどうしても、出陣がうまくいかなかったり、刀剣破壊が起こったりします。それを嘆いた町の刀たちは、あの大きな鏡を町に突き刺したのです。

 それからというもの、僕らは刃生の選択肢を選ぶたびに二つに分かれていくんです。そうして不幸な可能性は、みんな消えていった。僕も主を守れませんでしたから、もうすぐ消えるんです」

9.

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