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 長谷部の我儘で、燭台切を連れてきてしまったのです。

 自分を犠牲にしてでも、燭台切を守らなければならない――長谷部はそう心に決めていました。

 

「威勢のいい打刀だなあ。しかし、そう簡単に斬られるつもりはないぜ」

「……お前が誰であれ、斬るだけだ」

 

(そうだ、燭台切の一番好きな場所は……)

 行く先々で、燭台切が本丸を尋ねていた姿を長谷部は思い出しました。

 森で料理をした時の、楽しそうな表情。

――刀って、あんな風に生きられるんだね。希望がわいてきたよ。

 自分の本丸を語る時、なつかしむように細めた目。

――戦以外のことも結構やりがいがあるなと思って……。

(決めたぞ)

39.

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