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それをとんとんと叩くものですから、長谷部がそちらに目をやりますと、

2015年10月31日

燭台切光忠

へし切長谷部

と刻まれていたのです。長谷部は息を飲みました。

「それなのに、君たちは全くやって来ない」

「当然だよ。僕たちは折れていない」

 燭台切が言い返すと、男はふふんと鼻で笑いました。

 

「折れなければ、刀は墓で眠らないのかい?」

「なんだって?」

 男はさっと立ち上がると、隣の岩へ飛び移りました。その隣、そのまた隣と、とんとんとんと軽やかな音を立てて、水切りの石のように男は移動していきます。

 岩に刻まれているのは2016年、その隣は2017、そのまた隣は2018。数は増え続け、2021の上で男は立ち止まりました。

 

「今日この日まで、君たちはずっと2015年のハロウィンの時間を引き延ばして捻じ曲げて、彷徨い続けている。明日に進みたくないと、駄々をこねている。何一つ変わらないなら、」

31.

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