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「このままじゃあ、いつか僕らも終点に着いてしまう」
「ははっ、俺たちも忘れられてしまうのか」
「そうだよ。僕らの本丸に帰ろう、長谷部くん」
「俺たちの本丸? どうやって」
長谷部は低く笑いました。
「もう少しも思い出せないのにか」
燭台切の顔が強張るのを見て、長谷部は袖についた土を払いながら言いました。燭台切がこしらえてくれた、天使の衣装はもうぼろぼろになっています。
「俺は主の顔も姿も、もう何一つ覚えていない。お前だって、本丸がどこにあったか、どんな形をしていたのか、もうわからないんだろう? どれだけ人に尋ねたって、俺たちの帰る場所などないのだから――無意味だ」
「確かに、僕ももう記憶がおぼろげだ。でも、僕らの本丸は絶対に2015年に存在しているんだ」
燭台切は自分の壊れた刀剣移送装置「カバン」を突き出しながら言いました。
液晶モニターには、
『2015/10/31 00:00』と『ERROR』が交互に点滅しています。
28.
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