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「どうして、突然帰って来れたんだ?」
「さあ。君の刀が、迷いを切り裂くことができたからかな」
 燭台切がぱちんと左目を瞑ったので、長谷部は少し恥ずかしいような、嬉しいような、いろんな気持ちがないまぜになって、
黙り込んでいました。


「君の刃はもう、血にまみれなくたって光り輝いていけるのさ。だからね、もう」

 燭台切はちら、と自分の刀を見やってから言いました。

 黄金の目は柔らかな光を放っていました。

 

 その言葉は、きっとハロウィンを旅する前の長谷部なら、己の在り方を、真っ向から否定する言葉に他なりませんでした。

 俺は家臣とともに棚を斬ったから、へし切長谷部という名をもらったんだ、それを悪だと断じたのか、それとも無銘のままでいろというのか。そう叫んで、ひょっとしたら燭台切を斬ろうとしたかもしれません。

 けれども、今は違います。
 

「お前もな」
 長谷部はにやりとして言ってやりました。

 燭台切の言葉が未来を指していることを、もう知っていたからです。燭台切の方も、少し驚いたようでしたが、心の底から嬉しそうな笑顔を見せました。
 

 長谷部はもう、過去に生きているわけではありません。人の身を

得て、今を生きる刀剣男士なのです。

「君はくれぐれも家臣を斬ったりしちゃいけないよ」

43.

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